植物と昆虫 どっちがすごい?

植物や昆虫の生態や生存戦略から、人間の生き方を学ぶネイチャー・ライティング

 割り箸が日本の森を守る?  

割り箸に日本の間伐材を使うことで、森林内の人工林が更新されて、日本の森が元気になります。

間伐材の用途としては、集成材という小さな木材を張り合わせて大きな木材として使ったり、ガードレールに使ったり、さまざまですが、割り箸に使うというのも、コストさえ見合えば可能です。

そもそも木材として使えるようになるには、たくさんの苗木(日本ではスギが多い)を植えて、ある程度育ったら間引く作業をしなければなりません。

その間引きの作業が間伐で、さらには枝打ちという、材木の節をなくすための作業も必要です。節のない木材は、テーブルなどに使われ、高い値段で取引することができます。

木は、そのまま放って育てると、細くひょろひょろになり、風雪害を受けやすくなりますが、適切に間引けば太く大きく育ちます。

適切に間引きの作業を行うことは、木を大きく育てるだけでなく、ほかにもいいことがあります。

間伐しないでいると、木が密集して地面に光が差しません。すると、森林内の地面に光が差し込まず、他の植物が育ちません。

すると、雨が直接地面を打つことになり、表面の土が流れやすくなります。降った雨をとどめておくことができず、すぐに流してしまいます。

すると、結果、河川の氾濫も起こってくるのです。

これらを防ぐために間伐が必要なのですが、それが今はあまりうまくいっていないのが現実です。

間伐をしても、切り倒した後、いくらか短く切って森林内に放置していることも多いのです。搬出してもかかったコストに対して、相応の木材価格をつけることができないからです。もったいないことです。

……とまあ、このように長々と説明したようなことを、すっきり理解してもらうのは大変難しい作業です。

私たちの興味関心の範囲は、それほど大きくならないもので、自分の家が災害で流されないと自然環境に思いがいたらないものです。

それが愚かだというわけでも、悪いといいたいわけでもなく、それが人間の自然な姿なのだと思います。

間伐材を使うことで森が元気になることを説明し、それが引いては安全な住環境をつくるのだということを学校で教えない限り、いったんできあがった「木を切るのは悪」論を覆すのは難しいでしょう。

学校関係者の方々には、一面的に「木を切るのは悪」を教えるのではなく、世界の事情と日本の事情は違っているのだということを教えてほしいですね。

そして、木材を育てて切るのは、お米を育ててお米を収穫するのと同じであることを伝え、この人口減の局面に入ってきた日本で、新たな住宅地をつくるために、身近な自然をなくしてしまっていいのかを考えていきたいと、私は思っています。

だから、ワリバシプロジェクトはとても困難な事業なのです。

しかし、困難な事業だからこそ挑戦しようということでもあると思います。どんどん割り箸を使って、応援していきたいものです。

私たちは毎日使うワリバシについて深い考えをもっていません。でも、こうしたことを知れば、何が大事なことか気づかされます。

国産の間伐材のワリバシを使うのか、プラスチック箸を使うのか、その選択一つひとつで自分の考え方を、社会に反映していくことができるはずなのです。