植物と昆虫 どっちがすごい?

植物や昆虫の生態や生存戦略から、人間の生き方を学ぶネイチャー・ライティング

2019-01-01から1年間の記事一覧

 木の実でわかる親子関係  

秋になると、さまざまな植物が実をつけます。冬を越せない植物は種にその命を宿して、次の世代に託します。冬を越せる植物は果実をつくり、それを動物に食べてもらうことで種を遠くに運んでもらいます。 木が種を運んでもらう方法は主に3つ。風、鳥、そして…

 見えているものがすべてではない?  

「日が長くなりましたね」 春先に交わされる会話で季節を実感することはよくありますね。日頃、草木の成長で季節を感じることは少なくても、日の入りの時間は比較的わかりやすいのです。実は日の入りの時間が最も早いのは、東京では11月29日の16時28分です。…

 樹木の変遷から推理する日本の歴史  

いま雑誌はどこも苦戦中で、歴史雑誌も例外ではありません。その歴史雑誌は苦戦中の中でも古代史だけは人気があるといいます。古代史は文字で残っている史料がないから想像で語るしかなく、素人でも自説を展開しやすいので、在野の研究者が手を出すのだそう…

 生き残るための「ずらし」戦略  

小学校4年生のときの文集だったか、各クラス見開きのページに「なんでもチャンピオン」というテーマで、クラスの子一人ひとりがどんな分野でチャンピオンであるか、他の子が評価したものを載せていたのを思い出します。 ある子は「ピアノチャンピオン」、あ…

 ひとり勝ちは幸せか?  

ずっと勝ち続けることはどんな世界でも難しいですね。スポーツの話でいえば、古くはプロ野球巨人軍のV9というのがありました。ラグビーでは新日鉄釜石と神戸製鋼のV7があります。大学スポーツでは、帝京大学ラグビー部のV9、日体大水球部は376連勝…

 富士山は「新しい山」

西之島がいま大変なことになっています。西之島は、東京から1000キロ以上も離れた絶海の孤島小笠原諸島の西にある小さな無人島でした。しかし、2015年になって、西之島の近くの火山口から溶岩が噴出、新しく島ができました。それだけでも驚くべきことなので…

あえて競争の少ないところで生きる  

JR高尾駅から徒歩10分のところに、多摩森林科学園という施設があります。サクラなどの生態を研究する施設で、見本のため植林した木もありますが、高尾山周辺の自然の植生を見ることができる場所でもあります。 秋になると、その多摩森林科学園の散策路にガ…

 植物のおしゃべりを聞こう  

「あ、トイレのにおいだ!」 森林インストラクターとして活動する同僚が、以前、子どもたちを自然観察に連れて行ったところ、キンモクセイの香りを嗅いだ子どもがこういったといいます。 「トイレの芳香剤は、キンモクセイを模した匂いで、こっちが本家なの…

 ストレスはあっていい

私が森林インストラクターを志したのは、ひとつには「自然から学ぶ」生き方が、現代人にもできるのではないかという思いがあったからです。 20世紀に入ってから科学文明が加速度的に発達したおかげで、人間は自然を理解し、制御できると錯覚したところがあっ…

 「トマトの慎み」は生き残る戦略  

家庭菜園の定番といえば、ミニトマト。我が家でも毎年春先に種子を植えて、10本程度の苗木を育てています。初心者でもミニトマトが育てやすいのは、病害や乾燥に強いからです。放っておいてもいくらかは実がつきます。そうですね、1本の苗木から30個はゆう…

 ピンチはチャンス! 上がダメなら横へ  

いまだいたいの小学校で1年生になると、アサガオを育てているはずです。その理由としては、アサガオが比較的強い植物だからだと思います。 タネを植えるとだいたい発芽します。子供が持ち帰ったアサガオから種を取ったときに、はじけて飛んだ種が庭に転がり…

 イネが「日本のかたち」をつくってきた?  

秋。それは実りの季節です。 この季節には多くの食物が果実をつけます。なぜ秋なのかというと、夏の太陽がたくさん照り付けるし、気温が上がるので光合成が活発になり、果実や種の生産をしやすいからとか、花粉を昆虫に運んでもらうためには彼らがいる間に受…

 最後に残るのはどっちだ?  

今の時代は誰もが主役としての役割を望まれているために、脇役が評価されにくい時代かもしれません。何者かになれなければ、ただ普通に人生を送っただけでは失敗だと考えられている節さえあります。でも、本当は普通に生きているだけでいいと思うのですが。 …

 「登山」ではなく「トレッキング」で生きる  

高校野球の季節になると、甲子園がテレビ画面に映し出されると同時に、雑誌やネットにも高校球児たちの苦労話が溢れます。日本人が好きな「苦労して目標を達成する」話が分かりやすく展開されているからです。 実際の今の高校球児は、甲子園という夢のために…

 「トンビがタカを生む」は本当にありえないか?  

自然が豊かなことの証明として生物多様性ということがよくいわれますが、「ワシ・タカ類がいる」というのも豊かな森を示しています。「ワシ・タカの森を守れ」ということで、自然保護団体なんかが訴えていますよね。あれはそれだけ豊かな自然だからと言って…

「森は水をつくる」は本当か?

「外国人が北海道の水源地を買っている。政府はこんなことを許しておいていいのか!」 数年前、そんな問題が持ち上がったことがありました。水源地は二束三文で、日本人は誰も興味を示さないような場所です。そこを訪れた中国人が観光のついで(!)に買って…

 割り箸が日本の森を守る?  

割り箸に日本の間伐材を使うことで、森林内の人工林が更新されて、日本の森が元気になります。 間伐材の用途としては、集成材という小さな木材を張り合わせて大きな木材として使ったり、ガードレールに使ったり、さまざまですが、割り箸に使うというのも、コ…

 端にも置けぬ箸

飲食店ではプラスチック製の箸が多くなって、しばらく経ちました。 割り箸は木材を消費してしまうから、というので大手牛丼チェーン店などが割り箸からプラスチック箸に切り替えてきたのです。 岡山県の西粟倉村でトビムシという会社が、ワリバシファンドな…

木はそんなに弱くない

「二番目の子ブタは木の家をつくりました」 「狼は木の家に向かってすごい勢いで息を吹きかけると、木の家は吹き飛ばされてばらばらになってしまいました」 イギリスの童話「三匹の子ブタ」の一場面です。この童話にはご多分に漏れず、さまざまなバージョン…

 里山は「自然」ではない

「里山」が近年、ちょっとしたブームを起こしていると思います。 きっかけは、COP(生物多様性条約国会議)などで、世界の国々が「THE SATOYAMA」として、注目したことだったと思います。 「じゃあ、世界が注目する里山って、いったい何なのか」…

 森林も年を取る?  

森林内の生態系を勉強して気づいたことは多くあります。森林内の生態系は人間の経済活動と大変よく似ている面があるのです。 最初に驚いたのは、森林は遷移といって、ずっと同じ姿のままとどまるのではなく、形を変えていくのだということです。 人間と同じ…

 ガンダムを歩けなくするもの  

お台場に「等身大」のガンダムが展示されていましたね。かつて展示されていたものが、一度、静岡に行き、またお台場に戻ってきていました。今度は、横浜で歩くガンダムをつくろうという計画もあるようです。 以前、このガンダムを話のネタに見に行ってきたの…

現代人が山に向かう理由

今、大変な登山ブームだといいます。 中高年はいうに及ばず、山ガールという女性登山愛好家もすっかり市民権を得て、アウトドア雑誌も好調だといいます。 人が山に向かうのはなぜなのでしょう? その理由は、あまりにもバーチャルなものが増えてしまったから…

エッセイ、はじめます!

はじめまして私は森林インストラクターをやっているもので、 本業はフリーランスライターです。今回、私が出版したKindle本を、なんと無料にて 本ブログで公開していくことにしました。本のタイトルそのままに「植物と昆虫 どっちがすごい?」です。毎週金曜…